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カスタマイズ入門

○最新の更新○
2019/01/14 【部品交換】SEIKO PRESAGE SARK007
http://scientificwaches.blog.jp/archives/27817823.html

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〜当ブログの内容を読者の方がどう扱われても、管理人は責任を負いかねます。

【部品交換】SEIKO PRESAGE SARK007

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 はい。お久しぶりです。おそらく1年以上ぶりでしょうか。
しばらく時計から離れて無線、写真に行っておりました。私は流行りがあるので一度離れると戻るのが結構間が空いてからになってしまうのです。そういう方も多くおられると思います。
当然このページに書くネタも無く、コメントをいただいたという通知をメールで受け取った時に覗くぐらいで放置しておりました。
 そんな平和な時が流れていたのですが、ちょっとした問題が起きました。SARK007に異常な遅れ、ゼンマイ巻き切れが頻発するようになったのです。
元から日差-2s~-5sぐらいで、遅れ癖のある個体だったのですが、2018年10月ぐらい(もっと前だったかも)から急にゼンマイ巻き切れちょっと前ぐらい(残り稼働時間6時間~10時間くらい)になると2~3分遅れるようになりました。また、自動巻きで巻かれているはずなのにその効率が落ち、腕に装着して動きもあったのに時計が装着中に止まるという事例も起きたのです。

【原因を考えてみた】
 機械式時計をお持ちの方はこういった症状でピンと来るところがあると思います。SARK007が搭載している8R48Aは手巻き付き自動巻きのクロノグラフムーブです。買ってからそろそろ2年、一般にオーバーホール時期とされている頃でもあります。
 精度が落ちる原因はいろいろ考えられます。油切れ、磁気帯び、衝撃などによるヒゲの変形・・・
裏蓋スケルトンからムーブメントを見てみますと、テンプの動き、ヒゲの収縮運動には異常があるようには見えません。しかし、丸穴車が異様にすり減っているように見えました。

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DSCN1948p

↑全体的に、特に赤で囲ったところなどに丸穴車の摩耗がみられる

 マジックレバーの爪が噛みこんで、切替車の回転に合わせて引っかき、丸穴車を回転させて・・・ゼンマイを巻き上げている訳ですが、丸穴車の歯が摩耗してマジックレバーがうまくかみ合わなくなってしまい、巻き上げ効率が落ちているようです。こうなると、巻き切れ前に数分遅れるのも巻き切れで停止・再稼働を繰り返しているのではないかとも思えてきます。
 ということで、丸穴車が摩耗していることが不具合の原因であり、丸穴車を交換してやればまたまともに動いてくれるであろう、という結論に至りました。

【分解して交換】
 まともな人なら即刻セイコーに送って部品交換・修理を依頼するところですが、7Sや4Rのよくわからない部品がなぜかそこそこある私はこそこそ自分で部品交換することにいたしました。


個人で分解すると(裏蓋を開けると)保証が効かなくなります!
保証期間が切れて関係なくなっても、セイコーにオーバーホール出そうとして断られる可能性もあります。



 そうそう、忘れていましたが、あのフリーガーファイブMark.2もこっそりGMT仕様になっていました。4R37から例のGMTホゾ付き日送り車をもらってきて製作しました。


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↑ちゃっかりローターも4Rになっています。元は7Sなので手巻きがありません。

 ということで、8Rと同じく丸穴車軸を固定するブリッジがある、4Rで分解方法を試しておきます。(8Rが4Rベースなのですが)

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ネジを2つ外して

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持ち上げて外す。それだけです。外した時に何かが飛び出てきたりしたら困りますが、そういう事はないようです。これで安心して8Rの方も作業に取り掛かれるというものです。

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丸穴車を取り出しています。下に手巻き用の輪列がありますね。

次は、8Rをばらして、丸穴車を交換します。
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裏蓋にラップを掛けて、裏蓋外しで開けます。開けるときは反時計回りです。

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取れました。これでこのSARK007は暗黒の道に転落です。

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ブリッジを外しました。よく見ると、丸穴車が欠けていて、マジックレバーの爪がそこにピッタリ食い込んでいます。この状態では爪がロックされてしまい、ロクに巻き上げることができません。

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替えの丸穴車を取り付けます。マジックレバーが引っかかるので、このように片側(ローター軸側)を先に丸穴車に引っ掛け、次に反対側を引っ掛けます。

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切替車の穴にピンセットを差し込み、回転させます。これによって正常に組み立てることができているか試運転できます。正常ならマジックレバーの往復運動に伴い丸穴車が回転していることが分かるはずです。ある程度回していると香箱の板バネが跳ねるので、巻き上げられていることがよく分かります。

DSCN1958
↑取り外した丸穴車です。ガタガタになっていますね。


【丸穴車の歯が摩耗した原因】

 なぜこれほどまでに丸穴車が摩耗してしまったか。その理由は単純です。手巻き機能の使いすぎでしょう。
 4Rの分解写真で示した通り、手巻きの回転は丸穴車に伝わります。丸穴車(機械オモテ側の歯)を経由して角穴車に回転が伝わっていく仕組みです。それ自体は至って合理的な考えで、マジックレバーは板バネとして丸穴車を挟んで止めていますが、バネなので丸穴車にある程度以上のトルクが掛かれば回転を妨げることはなくなります。手巻きのトルクを丸穴車を通さず直接角穴車に伝えた場合も結局つられて丸穴車は回転することになるので、同じことです。

図1
↑自動巻き時のマジックレバーの動き


 しかし、マジックレバーと丸穴車は本来連動して動作するものであり、マジックレバーの丸穴車を順方向に引っ掻いて回転させる爪、逆方向から押して回す爪(機械ウラ側から見てローター軸側)はそれぞれ絶妙に丸穴車に対する負荷を緩めて動作しています。回転にかかわっている爪と反対側の爪はサメの歯状の丸穴車の歯の緩い斜面を滑るのであまり負荷になりません。また、「く」の字型になっている板バネのマジックレバーが往復運動することにより、丸穴車を両側から挟み込む力を緩めると同時に負荷になる側の爪を反対側に動かしています。これによって丸穴車がマジックレバーの負荷に打ち勝つべく回転するのではなく、マジックレバーの動きそのもので負荷に対抗している、つまり基本的には丸穴車の回転に作用するのとは反対側の爪が丸穴車の歯を滑っていく動作は丸穴車のトルクではなくマジックレバーの動きによる力により賄われています。
 それが、手巻きで丸穴車を回転させた場合はマジックレバーの両側の爪が丸穴車にとって負荷となります。この場合丸穴車のみが動くため、丸穴車の回転トルクによってマジックレバーの爪は丸穴車の歯を滑ります。負荷が100%丸穴車の歯にかかるわけです。部品を見れば分かりますが、丸穴車の微細な歯とマジックレバーの爪、どちらがより丈夫でしょうか。この丸穴車の歯をマジックレバーの爪が滑るという動作は根本的にマジックレバー側の力で賄われるべく設計されているということです。

 つまり、マジックレバー式自動巻き機構において、手巻き機能を作動させることは丸穴車の歯をひどく摩耗させるということです。
 
 7Sを長期間連続して使用していても、丸穴車の歯が摩耗していくようなことは見られませんでした。それが4R系列で手巻きをちょくちょく使用していたら(1か月に1回~3回くらいかな)これです。また、今回摘出した丸穴車の歯をよく見ると、マジックレバーの爪が当たる歯の機械ウラ側部分が摩耗しています。つまり、マジックレバーの爪によって丸穴車の歯が摩耗しているということです。この辺の状況証拠から、マジックレバー式自動巻き機構で手巻き機能を使うと丸穴車の歯がひどく摩耗するという事が考えられます。

 自動巻き時計で、手巻き機能はとても便利なものです。 週末に使用していない間に止まってしまって、月曜の朝に再び動かす際にとても重宝します。しかし、それを常用していると、または十分な巻き上げを手巻きでしようとすると、丸穴車を摩耗させていくことになってしまうということです。
 よく言われていることですし、説明書などでもメーカー側からアナウンスされていますが、自動巻きムーブメントで手巻き機能を利用するのは最低限にする方がより長持ちする、ということでしょう。


【関連記事】
➣すぐに分かる、機械式腕時計の仕組み
➣【レビュー】SEIKO PRESAGE SARK007 【動画付】

〈copyrights@sugi5cats〉

【魔改ファイブ】SEIKO5 FLIEGER Mk.2 製作

先日製作した魔改造ファイブ、フリーガー・マークⅠは文字盤のクオリティが低く、使っていても「なんか残念」なので改良版のマークⅡを作っていきます。

➢マークⅠ製作記はこちら

 今回の改善点は、
・不揃いでしかもヒョロヒョロした鼻毛目盛りを改善
・塗装ムラをなくす
・6時上スペースが寂しいのでなにか文字を入れる
です。
 文字盤のロゴや「Automatic」表記のような文字については、ロゴなしのまっさらでシンプルなのが好きな人もいたり、「6000m=19685ft」表記などがプロフェッショナル時計感を盛り上げる、といろいろと文字やロゴが入っているのが好みの人もいたりして、まぁ、人それぞれでしょうか。
 私としてはデザインのコンセプトがはっきりしていて、全体で統一されていることが重要だと思います。シンプルなデザインのインデックス、無地単色文字盤なのにごちゃごちゃ文字が入っていたり、誰も6000mも潜水しないのに文字盤には6000mでの単位換算が書いてあったりするのはどうかと思います。

 マークⅡのコンセプトも相変わらず「プロフェッショナルなファイブ、フリーガー版」ですのでマークⅠの主なデザインを継承し、バーインデックス、長めの分・秒目盛り、コテコテの夜光、IWCの雰囲気、ということで・・・
 12時下にはSEIKOロゴと5盾マーク、6時上には・・・「CAB」表記を追加。
 CABとはタクシーのことでも、IT業界の就職試験でもなく、「国土交通省航空局」です。JALとかANAとかは特定の企業なので使えませんし、なんとなく航空のプロっぽさを追求して航空局にたどり着きました。ただのアルファベットの組み合わせなので無許可でも別に問題ないでしょう・・・

〈製作〉

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今回は文字盤をPCで作っていきます。
Excelの円グラフを利用します。

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60項目の表をつくり、それをグラフ要素データとして円グラフを作成します。
グラフスペースではなく円グラフの本体を選択し、書式設定ウィンドウで全体を単色で塗りつぶし、枠線を白色に設定します。

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グラフ上に円(楕円ではなく真円)図形をのせます。
グラフのほうが上にきてしまう場合は円図形を前面に移動させます。
円図形の書式設定で大きさを指定します。ピクセルではなく㎝や㎜で設定します。

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円グラフの中心と円の中心が等しくなるようにします。
うまくやる方法が有るといいのですが、よくわからないので目測です。


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ロゴや文字をいれていきます。
ネットで探したロゴや、セイコーのYouTube動画をスクショした画像からロゴをとります。
文字はExcelの方でテキストボックスを挿入します。

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いろいろ試行錯誤できるのがデジタルの良いところですね。

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拡大縮小なしで印刷します。印刷前に図形を全てグループ化しておいたほうが勝手にずれたりしなくて良いかもしれないですね。
印刷した文字盤が乾いたら、文字盤のサイズに合わせてコンパスカッターで切り取り、インデックスやロゴを張り付けていきます。

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先日製作したマークⅠの文字盤の表面をならして、上に貼り付けます。

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デイト穴は貼り付ける前に開けておいたほうが易しいです。
ロゴの貼り付けや文字盤への貼り付けは普通のスティックのり(強力)使用。

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ムーブメントへの固定は樹脂スペーサーに接着剤を塗って、ぺたりと貼り付けます。
接着剤がカレンダーディスクに付いたりしないように気を付けます。

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針をつけて、ケーシングして完成。
途中で秒針がどっか行ったので別のやつです。
夜光がついたので暗いところでも秒針が動いてるのがわかります。

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SEIKO5 Flieger Mk.Ⅱ(国土交通省航空局仕様)です。

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秒針に夜光がついたのは結構便利ですね。

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薄暗ければ夜光が見えるくらい強く発光します。



 時分針は使いまわしで基本デザインも全く変わっていませんが、それがブランドデザインってもんでしょw
 秒針紛失というハプニングから夜光付きの秒針をもってきたのですが、思いがけず改良となりました。もともとハック機能の無い7S搭載なので、「時計が動いてることの確認用」に秒針があるのですが、暗闇でも秒針が動いてるのが見えるようになって実用性が増したのではないでしょうか。プロフェッショナルなファイブのコンセプトにも合致します。 航空局仕様となりましたが、航空局の飛行検査機のパイロットがこれを使うことは無いでしょう・・・

〈copyrights@sugi5cats〉

【魔改ファイブ】 フリーガーなファイブ自作

フリーガー・アルムバンドゥーア【dir Flieger Armbanduhr】つまり航空腕時計。男心をくすぐる渋いフリーガーな時計がIWCとかShinとかから発売されています。特にIWCは非常にかっこいいのですがいかんせん高すぎます。ETAにそんなに払えるか!と負け惜しみを吐く前に、いっそ自分で作ってしまいます(もっと負けてる)

 我らがセイコーファイブは丈夫で安価故に世界中の過酷な環境で活躍するプロフェッショナル達に愛用されています。海外限定販売の7S搭載ダイバーに代表されるプロフェッショナルなファイブ。ミリタリーデザインは有りますがフライトデザインが少ない。しかも計算尺がついたりしたゴテゴテばかりで「フリーガー」でググって出てくるような渋いマークシリーズ風は無いです。ぜひラインナップして欲しいものです。。。
 ちなみにプロフェッショナルなファイブのイメージは、
・オメガのシーマスが便器の味のマティーニを飲む女たらしの殺しのプロフェッショナルなら、セイコーダイバーは海上連絡橋建設工事で毎日潜水する潜水士
・IWCがメルセデス・ベンツ・ウニモグならファイブはイスラム国のジハード戦士とか正規イラク軍とかAU(アフリカ連合)の連合PKO部隊が乗るケツにでっかくTOYOTAとかNISSANとペイントされたピックアップトラック
です。
 そんなプロフェッショナルなファイブにふさわしい質実剛健で渋いフリーガーなファイブを作っていきます。

〈分解〉
 何はともあれ分解していきます。分解についてはファイバーな方なら皆さんご存知のファイブ実験室をご参照下さい。

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裏蓋を開けるにはスクリューバック専用の開閉器が必要です。
開閉器の爪で傷つかないようラップで保護します。
開閉器はケチらないほうが良いです。
安価なものは固定が甘かったりします。


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画像の向きで開閉します。
開閉器の爪がしっかりと噛むまで締め上げてから。


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開きました。
次はローターを外します。
外さないでそのままローター側を下にしてムーブメント台に置くと、ローター軸が歪みますので必ず外します。


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ローターのネジは中央に向かって傾斜があります。


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ドライバーを削ってネジにピッタリの形状にすると確実です。


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ムーブメントを取り出すにはオシドリの凹みをピン先で押さえてリュウズを抜きます。


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取った部品は失くさないように箱に入れておきます。


〈製作〉

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文字盤の材料は0.5mm厚のアルミ板。
コンパスカッターで円形に切り込みを入れます。


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切り込む寸法を正確にしないとベゼルの文字盤用溝まではまりません。
上図だと文字盤が大きすぎです。
下図の様にリュウズチューブが全部見えるのが正解です。

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分度器を使って目盛りを入れます。
紙に予め分度器を使って線を書いておいて、定規とカッターで目盛りを彫ります。


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カレンダー穴を開けます。
ケガキをしてから中央部にいくつか穴を開けて、鋼鉄製精密ドライバーをノミにして穴を開けます。
アルミは柔らかいのでノミを手で押し込むだけで切れます。
ノミの尻をハンマーで叩いたりしなくてもいいです。
気をつけないとカレンダー穴の周りも陥没しますので慎重に。。。


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仕上げはヤスリで。
直線になるように調整します。


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円形の切込みの周りをペンチで全周をグイグイやるときれいに取れます。
目盛り入れ、カレンダー穴加工まで切り取らない方が楽に保持できて作業がし易いです。


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取れました。
目盛りの溝を均一に、深くなるように、カッターで数回彫ります。


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針は今回はアルミ缶から切り出しました。
針の穴はムーブメントのツツカナと現物合わせで慎重に広げていきます。


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文字盤の表面を均一に磨いてからスプレーで塗装。
アルコールやシンナーでの脱脂も忘れずに。
塗装前の磨きで塗装の出来が変わります。
大きめのヤスリ傷とかが元になってダマになります。


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目盛りの墨入れはチョークでw
溝が埋まったら指でw拭き取ります。


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意外とキレイにできます。


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インデックスの夜光テープを貼っていきます。
夜光テープはホームセンターなどで買えます。
「蛍光」は光りません。「夜光」を買います。
夜光(蓄光)塗料よりもテープはお手軽です。
サーフェイサー(白色の下地塗料)も不要なので。


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インデックスや針は太すぎるとみっともない(よね?)ので細くします。


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針をつけます。
水平に、互いに干渉しないように気をつけます。
時分針の夜光テープはそのままだと厚過ぎるので表面をよく研いだカッターでそぎ取って薄くしてあります。
それでも秒針は干渉したので、分針の夜光テープに当たらないよう手で曲げました。
カナの長い4番車があればいいのですがそうはいきませんので。
手曲げ針は高級針ですよw


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ケーシングして完成。


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ルミノーバの夜光テープなので明るいです。


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元のファイブの文字盤からロゴのパーツを移植しています。


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セイコーファイブ・フリーガー・マークⅠ(SEIKO5 FLIEGER MARKⅠ)、完成です。


 アラビア数字だったら完全にマークシリーズですが、私には文字盤にプリントする技術がないのでバーインデックスです。セイコーらしくて良いんじゃないでしょうか。12時位置の三角がミリタリー&フリーガーテイストを表しています。
 文字盤の塗装ムラや目盛りのクオリティに不満が残っているのでいずれマークⅡを作るかも知れません。

➢マークⅡ製作記はこちら

〈copyrights@sugi5cats〉

【レビュー(?)・改造】チプカシ CASIO−AQ230(アナデジ)

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予定では昨日、磁気帯びの記事を書くことになっていましたが、AQ230が届いてしまったのでそちらにかかってしまい、解説イラストや文章作りができませんでした。申し訳ありません。磁気帯びの記事は延期します。
※2016/05/19/23:00〜翌02:00頃にうp予定、でしたが05/22うp➣腕時計の磁気帯びについて【大図解】

 という事で今日はAQ230のレビューと改造の紹介をします。
 レビューと言ったものの開封し、確認して、ベルトを調節して着用、自転車で外出し、帰宅後すぐに分解を始めてしまったので初期状態での継続使用はできませんでした。

【AQ230−モデルの印象、使用感】
 私はAmazonで購入しました。Amazon販売ではなくどっかの出店者が販売していたものです。
 黒文字盤が良かったのですが、Amazon販売の白文字盤よりも1,000円ほど高い。この差は何なのでしょうか。
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日本語でゴミの分別が書かれたCASIOの箱、飾り台、取説、保証書、本体、以上。

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取説と保証書は英語、スペイン語、簡、繁中国語、アラビア語。日本語なし。
英語ならなんとか読めます。他は完全に理解不能。

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デジアナでしかも薄型スクエアケース、スライド式調節バックル(爪が痛くなるやつ)の板巻きブレス、と80年代風です。
気になったのは12時位置のインデックスのみ金属の棒が付いていること。他のインデックスは文字盤のプリントです。

 着用して自転車に乗りましたが別に針が飛ぶとかそういう事はありませんでした。機械式と違ってクオーツはそこが良いです。
ただ、暗いところでの視認性は最悪です。針が特に見えません。インデックスもです。
 さらにケースはプラスチック製ですがメッキで銀色にヌラヌラテカテカしています。デジタルのチプカシ、A158なんかもそうでしたが、お世辞にも高級感があるとは言えません。
 
 チプカシの常で軽く、装着感は最高です。

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固めの板巻きブレスですが、そのおかげでブレスがケースに接触しません。
適当に置いたりポケットに入れても傷が付きにくいです。

【ムーブメント】
 アナデジ表示。
・アナログ部2針:20秒おきにピクッと分針が動きます。デジタル部とは独立して運針、設定されます。ケース右のボタンを押すと20秒分進み、これで時刻を合わせます。長押しで早送りします。(電波時計みたいで見ものです)
・デジタル部:12、24時間制時分秒表示、月日曜日表示(年は設定せず、よってフルオートではない)、アラーム機能(1つのみ設定。他に時報機能有り)、デゥアルタイム機能(GMTと言ったところか)、ストップウォッチ機能(1時間迄、100分の1秒精度)
以上の順番でケース左上のボタンを押すと切り替わります。操作音も出ます。消音機能はありません。

 以上の便利(ただし一般的なデジタル時計と比べると非常に中途半端)な機能を備えたムーブメントの仕組みは非常に興味深いですね。
 アナログとデジタルが独立しているので汎用アナログクオーツの機械をデジタルの機械と一緒に組み込んだだけの合体戦隊を期待。MQ24などアナログチプカシのムーブメントはMIYOTAでしたので、このAQ230でもアナログ部はMIYOTA製だったりして。だったら手持ちの針に交換したり2針を3針にできるのでは、と妄想しました。
 ですがアナログ部の運針が20秒おき、時刻合わせはボタン、とその可能性は薄いと思います。(実際違います)
 クオーツ式の仕組みの記事〈➣リンク〉でも書きましたが、普通のアナログクオーツなら秒針の歯車が基本になっていて、それに連動して分、時が動きます。しかし、こいつの場合は秒針がなく、代わりにデジタル部の表示が00、20、40秒の時に分針が動きます。(それでもアナログ部とデジタル部の時刻設定は独立しているという謎仕様)これでは仕組みが根本から違いますので3針化は無理でしょう。

2016/05/19追記
 精度は良いです。今のところ誤差は±0.0sレベルです。実測月差が楽しみです。

 では分解検証です。
【通常分解】
 早速分解です。届いたその日に分解する変態。
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バネ棒を縮めます。かん足サイドにバネ棒外しを差す穴が開いています。

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取れました。ブレスとのフィッティングの良い太いバネ棒です。素晴らしい。ファイブに見習ってほしいですね。

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裏蓋はかみ合わせ式のはめ蓋です。はめ込み蓋よりも容易に開け閉めできます。
図の赤矢印の先にマイナスドライバーを差し込み、緑矢印のように回して蓋の爪を持ち上げます。
両側少しずつ、交互にやります。
最後に青矢印のところにドライバーを差し込み、テコの原理で蓋を外します。

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機械がお目見え。アナログ部はMIYOTAではないです。電源は共有してますね。
リチウム電池なら長持ちしますね。
リチウム電池は内部抵抗が少ない素晴らしい電池です。
現代の情報機器の電源には欠かせません。
なお、リチウムがまとまって採掘できるのは地球上でボリビアだけです。
でもリチウム電池ではないです。

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なんとCASIO製モジュールです。
チプカシでもデジタルとデジアナは自社製ムーブメントを使用してるのですね。

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文字盤側。
文字盤はえと足がプラにささってるだけなので、マイナスドライバーでテコ入れすればすぐ取れます。
歯車は全てプラスチック製のようです。


【改造工程】
 針交換や3針は無理でしたので、視認性向上、謎の高級感向上のためにインデックスを全て金属棒にします。

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インデックスの原料は針金。これを削りだしていきます。

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ヤスリで削ります。大変です。

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進んできました。細く、薄くします。

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3mmごとにカット。ハサミで切りました。

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端を整えます。この作業をしていると気分はマイクロアーティスト工房です。
(諏訪のセイコーの工房。スプリングドライブのクレドールなどを生産する卓越した匠の工房。)

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12時位置のインデックスは他よりも太め、センターラインも入れます。
(GS病発症)

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文字盤の裏からインデックスの足を押し出し、撤去します。

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浮いて来たらカッターでほじります。傷がつかないように注意。

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取れました。

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作ったインデックスを貼っていきます。
2液混合接着剤使用。100均で売ってます。
ピンセットでつまみ、爪楊枝で押して接着。

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インデックス完成。

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モジュールに載っけて針を付けます。
針は12時00分で付けます。そうすると針ズレがおきません。


後はケーシングですが、風防、文字盤のホコリは綿棒で取ります。
風防のホコリは黒い背景のところで作業すると見やすいですね。

ケーシング後、ヌラヌラのケースが気に入らないので、インデックス、ブレスがヘアラインなのに合わせてケースもヘアラインに仕上げます。
メッキ層は割りと分厚く、ペーパーでのヘアライン処理に耐えました。
A158などの銀色のチプカシでメッキのモデルなら同じ手法が使えるかもしれません。
ケースのカスタマイズされる方におすすめします。
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ペーパーを消しゴムで押さえて擦ります。
写真ではやってませんがテカテカのままにしておきたい所はマスキングした方が良いです。

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ベルトを付けます。バネ棒に引っかかるところがないのでバネ棒外しよりもマイナスドライバーの方が良いですね。

完成。
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カッコいい。なかなか良いと思いますがどうでしょう。

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例によって豆電球照明の写真。

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付いてきたディスプレイはファイブが使います。
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インデックス作りに1時間半、分解、組み立て、インデックス貼り、ヘアライン処理に1時間半、と合計3時間の工程です。
それからブログ執筆で2時間。。。5時間徹夜でぶっ続け。週末だからできることですね。

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二足型バネ棒外しの自作

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今日は日曜日でヒマでしたので、工作です。
弓カン金属ブレスの扱いで便利なバネ棒を両側から縮められる二足型バネ棒外し(正式な名前は知りません)を自作しました。

【材料】
・アルミ缶
・割り箸
・針金

    以上。

【工程】

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アルミ缶をハサミで開きます。

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板にします。

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ペンチで端から折り曲げていきます。
2〜3折します。薄すぎては曲がりますし、厚すぎてもバネ棒の溝に入りません。

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先端をヤスリで削り、バネ棒外しの形にします。

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2個作ります。

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割り箸を綺麗に割りたいので切り込みを入れます。

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んべΣ(´∀`;)

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ニッパーは強い。

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斜めに削ります。
普通のナイフや切り出しよりも彫刻刀の平刀が便利です。最後にヤスリで平らにします。

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先端部分はこんな感じに削ります。

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針金で固定。

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反対側も高さを合わせてセット。

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斜めに削った根元を合わせて、太い針金で巻きます。
針金の先はニッパーで切ったあとヤスリで尖りを取っておき、巻き終わりには木槌で叩いて締め上げます。

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完成。同じようにしてピンセットも作れます。

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ちゃんと挟めています。

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今回使用した道具と材料。


これはかなり使い方が限定される道具ですが、金属ブレスの取り付け、外しにはかなり有用です。
割り箸の先端が作用面ですが、垂直に正しく削っておく事が後々の使い勝手に影響します。
バネ棒をつかむ時はアルミ板を取り付けたところを持って下さい。そうしないと力が入りにくいです。(テコの原理)

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