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予定では昨日、磁気帯びの記事を書くことになっていましたが、AQ230が届いてしまったのでそちらにかかってしまい、解説イラストや文章作りができませんでした。申し訳ありません。磁気帯びの記事は延期します。
※2016/05/19/23:00〜翌02:00頃にうp予定、でしたが05/22うp➣腕時計の磁気帯びについて【大図解】

 という事で今日はAQ230のレビューと改造の紹介をします。
 レビューと言ったものの開封し、確認して、ベルトを調節して着用、自転車で外出し、帰宅後すぐに分解を始めてしまったので初期状態での継続使用はできませんでした。

【AQ230−モデルの印象、使用感】
 私はAmazonで購入しました。Amazon販売ではなくどっかの出店者が販売していたものです。
 黒文字盤が良かったのですが、Amazon販売の白文字盤よりも1,000円ほど高い。この差は何なのでしょうか。
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日本語でゴミの分別が書かれたCASIOの箱、飾り台、取説、保証書、本体、以上。

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取説と保証書は英語、スペイン語、簡、繁中国語、アラビア語。日本語なし。
英語ならなんとか読めます。他は完全に理解不能。

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デジアナでしかも薄型スクエアケース、スライド式調節バックル(爪が痛くなるやつ)の板巻きブレス、と80年代風です。
気になったのは12時位置のインデックスのみ金属の棒が付いていること。他のインデックスは文字盤のプリントです。

 着用して自転車に乗りましたが別に針が飛ぶとかそういう事はありませんでした。機械式と違ってクオーツはそこが良いです。
ただ、暗いところでの視認性は最悪です。針が特に見えません。インデックスもです。
 さらにケースはプラスチック製ですがメッキで銀色にヌラヌラテカテカしています。デジタルのチプカシ、A158なんかもそうでしたが、お世辞にも高級感があるとは言えません。
 
 チプカシの常で軽く、装着感は最高です。

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固めの板巻きブレスですが、そのおかげでブレスがケースに接触しません。
適当に置いたりポケットに入れても傷が付きにくいです。

【ムーブメント】
 アナデジ表示。
・アナログ部2針:20秒おきにピクッと分針が動きます。デジタル部とは独立して運針、設定されます。ケース右のボタンを押すと20秒分進み、これで時刻を合わせます。長押しで早送りします。(電波時計みたいで見ものです)
・デジタル部:12、24時間制時分秒表示、月日曜日表示(年は設定せず、よってフルオートではない)、アラーム機能(1つのみ設定。他に時報機能有り)、デゥアルタイム機能(GMTと言ったところか)、ストップウォッチ機能(1時間迄、100分の1秒精度)
以上の順番でケース左上のボタンを押すと切り替わります。操作音も出ます。消音機能はありません。

 以上の便利(ただし一般的なデジタル時計と比べると非常に中途半端)な機能を備えたムーブメントの仕組みは非常に興味深いですね。
 アナログとデジタルが独立しているので汎用アナログクオーツの機械をデジタルの機械と一緒に組み込んだだけの合体戦隊を期待。MQ24などアナログチプカシのムーブメントはMIYOTAでしたので、このAQ230でもアナログ部はMIYOTA製だったりして。だったら手持ちの針に交換したり2針を3針にできるのでは、と妄想しました。
 ですがアナログ部の運針が20秒おき、時刻合わせはボタン、とその可能性は薄いと思います。(実際違います)
 クオーツ式の仕組みの記事〈➣リンク〉でも書きましたが、普通のアナログクオーツなら秒針の歯車が基本になっていて、それに連動して分、時が動きます。しかし、こいつの場合は秒針がなく、代わりにデジタル部の表示が00、20、40秒の時に分針が動きます。(それでもアナログ部とデジタル部の時刻設定は独立しているという謎仕様)これでは仕組みが根本から違いますので3針化は無理でしょう。

2016/05/19追記
 精度は良いです。今のところ誤差は±0.0sレベルです。実測月差が楽しみです。

 では分解検証です。
【通常分解】
 早速分解です。届いたその日に分解する変態。
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バネ棒を縮めます。かん足サイドにバネ棒外しを差す穴が開いています。

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取れました。ブレスとのフィッティングの良い太いバネ棒です。素晴らしい。ファイブに見習ってほしいですね。

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裏蓋はかみ合わせ式のはめ蓋です。はめ込み蓋よりも容易に開け閉めできます。
図の赤矢印の先にマイナスドライバーを差し込み、緑矢印のように回して蓋の爪を持ち上げます。
両側少しずつ、交互にやります。
最後に青矢印のところにドライバーを差し込み、テコの原理で蓋を外します。

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機械がお目見え。アナログ部はMIYOTAではないです。電源は共有してますね。
リチウム電池なら長持ちしますね。
リチウム電池は内部抵抗が少ない素晴らしい電池です。
現代の情報機器の電源には欠かせません。
なお、リチウムがまとまって採掘できるのは地球上でボリビアだけです。
でもリチウム電池ではないです。

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なんとCASIO製モジュールです。
チプカシでもデジタルとデジアナは自社製ムーブメントを使用してるのですね。

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文字盤側。
文字盤はえと足がプラにささってるだけなので、マイナスドライバーでテコ入れすればすぐ取れます。
歯車は全てプラスチック製のようです。


【改造工程】
 針交換や3針は無理でしたので、視認性向上、謎の高級感向上のためにインデックスを全て金属棒にします。

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インデックスの原料は針金。これを削りだしていきます。

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ヤスリで削ります。大変です。

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進んできました。細く、薄くします。

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3mmごとにカット。ハサミで切りました。

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端を整えます。この作業をしていると気分はマイクロアーティスト工房です。
(諏訪のセイコーの工房。スプリングドライブのクレドールなどを生産する卓越した匠の工房。)

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12時位置のインデックスは他よりも太め、センターラインも入れます。
(GS病発症)

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文字盤の裏からインデックスの足を押し出し、撤去します。

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浮いて来たらカッターでほじります。傷がつかないように注意。

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取れました。

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作ったインデックスを貼っていきます。
2液混合接着剤使用。100均で売ってます。
ピンセットでつまみ、爪楊枝で押して接着。

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インデックス完成。

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モジュールに載っけて針を付けます。
針は12時00分で付けます。そうすると針ズレがおきません。


後はケーシングですが、風防、文字盤のホコリは綿棒で取ります。
風防のホコリは黒い背景のところで作業すると見やすいですね。

ケーシング後、ヌラヌラのケースが気に入らないので、インデックス、ブレスがヘアラインなのに合わせてケースもヘアラインに仕上げます。
メッキ層は割りと分厚く、ペーパーでのヘアライン処理に耐えました。
A158などの銀色のチプカシでメッキのモデルなら同じ手法が使えるかもしれません。
ケースのカスタマイズされる方におすすめします。
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ペーパーを消しゴムで押さえて擦ります。
写真ではやってませんがテカテカのままにしておきたい所はマスキングした方が良いです。

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ベルトを付けます。バネ棒に引っかかるところがないのでバネ棒外しよりもマイナスドライバーの方が良いですね。

完成。
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カッコいい。なかなか良いと思いますがどうでしょう。

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例によって豆電球照明の写真。

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付いてきたディスプレイはファイブが使います。
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インデックス作りに1時間半、分解、組み立て、インデックス貼り、ヘアライン処理に1時間半、と合計3時間の工程です。
それからブログ執筆で2時間。。。5時間徹夜でぶっ続け。週末だからできることですね。

〈copyrights@sugi5cats〉