理系な腕時計ブログ

素人がお安く腕時計を楽しむ

2016年04月

○最新の更新○
2019/01/14 【部品交換】SEIKO PRESAGE SARK007
http://scientificwaches.blog.jp/archives/27817823.html

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【レビュー】SEIKO5 SNK357KC

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実に素晴らしい。

【ムーブメント−7S26C】
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某国で偽物がでた為にスケルトンになったと言われる裏蓋。見えるcal.7S26は艶気こそ皆無ですが堅牢な風貌がかえって美しい。

 セイコー5シリーズではおなじみの自動巻式機械時計ムーブメント、7S26のうち現在は7S26Cが搭載されているもようです。
 手巻き、秒針規制無し。マジックレバー巻き上げ(両回転)。中三針デイデイト。6振動(21600bph)。21石。パワーリザーブ約40時間。公称日差±40秒。
 堅牢、安価、そして高精度。公称日差は嘘っぱちで、実際には日差±10秒におさまる位になります。1日15時間ほど携帯している私のSNK357は3ヶ月間の平均で日差+7.2秒でした。
 よく巻き上げ静置して各姿勢6時間実測、日差換算で検定をしてみましたところ、結果は以下のとおりです。
水平文字盤上−日差+6.85秒 
水平文字盤下−日差+6.54秒 
垂直12時上−日差+2.00秒 
垂直6時上−日差+4.00秒 
垂直3時上−日差+7.71秒 
垂直9時上−日差−10.66秒

すなわち
平均日差+2.74s 
垂直水平差2.93s/日 
最大姿勢偏差13.40s/日
※数値は小数第3位以下切り捨て

 これは購入後無調整、3ヶ月使用後での結果です。最大姿勢偏差以外はスイスクロノメーター規格、新GS規格にパスする水準です。恐るべき精度です。ただし姿勢差が大きいと言えるでしょう。姿勢差が大きいと置き方を工夫して「日差0」にできます。ですが私は面倒なのでやりません。10日に一回程で時刻合わせする楽しみはとっておきたいですね。

 残念ながら7Sには香箱、マジックレバーの軸受けがルビーでない、カレンダー周りがプラスチック製、と耐久性に疑問点があります。
 香箱はゼンマイが入ってますのでトルクがかかりますし、マジックレバーの軸受けが弱いと油切れしたら摩擦で削れ、巻き上げ効率が悪くなってしまいます。丈夫で低摩擦なルビーなら良いのですが。改良型の4R系やSEIKOの現在の主力と〈私は思ってます〉6R系はこの辺が改善されています。
 カレンダー周りがプラスチック製ですと、機械への負担は軽くなるのですが、お察しの通り脆くなります。56ロードマチックでカレンダー送り不可の個体がよくヤフオクに出没しますが、そういうことです。6Rですと改善されています。当然9Sもガッチガチの金属製です。
 しかし、実際には壊れたという事はあまり聞きません。ただ、私の父が昔持っていたファイブアクタス(7Sの原型、70系搭載)はどうやら巻き上げ辺りが壊れたようで、ゴチゴチと変な音がし、イカれたトルクが機械をぶっ壊し、針が吹き飛んでご臨終したそうです。70系をお持ちの方はオーバーホール、注油をしっかりしてあげてください。

【SNK357KC−モデルの印象】
 全体に「5盾」マークを並べた濃紺の文字盤が最大の特徴です。5盾模様は強めの指向性の大きな光が当たればよく見えます。例えば蛍光灯、LED、直射日光など。
 非常に濃い紺色ですので黒に見えることもありますが、他の多くの紺、青文字盤の時計に比べて落ち着いた印象です。インデックスは最近のセイコーに比して太く、薄いものです。光の当たり具合では文字盤と同化してしまいますが、外周部の夜光の白くマットな表面により視認性は確保されます。針も同様です。
 ケースはかん足上面がヘアライン、他ポリッシュ仕上げで形はGSに有りそうな「接線サイドライン」のものです。ただ、ベゼルと裏蓋はちょっと高い印象を受けます。風防直径2.9mm、ベゼル直径3.3mmの小顔に比して分厚くなってしまいます。

 実は私はGSに憧れてこれを買ったようなものです。接線サイドラインが大好きなんです。ロレックスも接線ですが、かん足の落ち方が嫌いですね。まあ、個人的な好みですが。GSと違って針がバーハンドですが、5盾エンブレムや文字盤のしつこいまでの5盾がファイブであることを強く主張しています。夜光もありますので、より実用時計であるイデタチとなり、私はなんだかんだで気に入ってしまいました。

型番末尾の「KC」(K1とも)は海外組み立てを意味するそうです。KCシリーズはカレンダーが英語orスペイン語で、J1シリーズはカレンダーが英語orアラビア語で日本組み立てだそうです。私のSNK357は裏蓋に「cased in China、movement Malaysia」というシールがありました。中国組み立て、マレーシア製のムーブメントだそうです。

【ベルト】
 私は純正のブレスの5連が古くさく思えたので黒革、又は無垢3連ブレスに交換しました。
 純正も板巻きながらも柔軟性のあるフィッティングの良いものですが、サイドのゴチャっとした板バネの先端がちょっと。。。
 革ベルト化は他の方もよくやってみえるようですが、無垢化は見当たりませんでした。Amazonで程よいモノを買って、純正の弓カンを流用して、バックルも交換しました。無垢ブレスだと重くはなりますが、この小顔のSNK357がちょうどいい細腕ですとブレスの長さも程度がしれます。そう重くは感じませんでした。重心が全体に分散され、装着感が良くなったかも知れません。
 無垢ブレスへの交換は後々記事にできると良いですが、視聴率の悪いこのブログの記事を書くのはなかなか苦痛でして。※2016/05/04記事アップ〈➣リンク〉
〈以下無垢画像集〉
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2chにも同じ画像をちょっと前にうpしましたが、不評ではなかったと解釈しております。

【以下カッコつけた画像集】
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こちらは2chでは「暗すぎる」「革ベルトが拘束具、dバックルが鉄格子、差し込む光が微かに残る希望を表す」なぞと言われますた。
そんなつもりはなかったのですが、私の心理状態でも表しているのでしょうか。

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無垢ブレスバージョン。

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このSNK357はこの五千円札を支払いに使いました。55555が御神託かのよう。後で売って増額するかとっておけばよかったとも思いました。後の祭り。もしこの五千円札を入手された方はファイブを買うのに使ってください。

〈copyrights@sugi5cats〉


〈関連記事〉
➣【無垢・革】ベルト交換〈SNK357KC〉

すぐに分かる、クオーツ式時計の仕組み

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水晶。石英【SiO₂】のよく発達した結晶が水晶と呼ばれる。
水晶の性質がクオーツ式時計に利用されている。クオーツ式時計に使われる水晶は時計会社で人工的に作られる。人工水晶は結晶の発達に最適な環境で作られるため、天然のものより遥かに質が良く、大きい。
写真の水晶は管理人のコレクション。怪しいパワーストーン店の隅の方で500円程で売っていた。ひとつの大きな結晶群の様に見えたが、幾つかの破片を石膏で固めたものだった。。。


今日は現在の腕時計の主流、クオーツ式について見ていきます。

【クオーツの強み、高振動】

 時刻を正確に刻む為にはどうしたら良いでしょうか。大昔は日時計を使っていました。日時計は太陽の見える向きが時間の経過で移ろうことを利用しています。しかし、太陽が見えない時には使えません。そこで水時計や火時計が発明されました。これらは時間の経過と共に起こる規則的な変化を利用しています。時間の経過と共に増える水かさ、燃えていく線香。この「規則正しい変化」で時間の経過を知るという発想が時計の真の意味での発明だったと言えるでしょう。
 現代的な時計は振り子の等速な往復運動、同じく等速なヒゲゼンマイの伸縮運動、といった規則正しい「振動」が利用されています。例えば1秒に6回正確に振動する振り子を用意したら、振り子の1振りで6分の1秒分だけ秒針を動かす様に歯車を組み合わせれば、時計になります。
 歯車の組み合わせ、つまり歯の数や回転数の数比の決定は数学的に行われます。振り子が正確に振動する限り、秒針の動きは絶対に正確になります。歯車が正確に作られていればですが。しかし、どうしても振動には誤差が生じます。そこで、時計を正確にするにはこの振動数を大きくし、1振動にかかる時間を短くすることが必要になります。1振動にかかる時間が短ければ1振動の些細な誤差がもたらす影響も小さくなるからです。
 故に、現代的な機械式時計が精度を上げる歴史は高振動化と共にありました。日本では1960年代には一秒に5.5振動でも高精度(例:GSセルフデーター)でしたが、すぐに10振動のもの(例:61GS)が現れ、さらに高精度になりました。
 しかし、時計の歴史を大きく変えたのがクオーツ式です。水晶は電流を流すと正確に一秒に約30000回振動する性質があります。この高振動こそがクオーツ式が正確である理由です。


 前置きが長くなりましたが、ここからクオーツ式の仕組みを見ていきます。

【クオーツ式ムーブメントの仕組み】

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写真はミヨタ(シチズンの子会社)の激安クオーツムーブメント、MIYOTA101Aと、その基盤です。
ムーブメントに組み込まれたコイルや基盤のicチップ、銀色の筒状の水晶振動子が見えますね。この銀色の筒の中に音叉型の水晶振動子が入ってます。
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 手書きの図で申し訳ありませんが、上の図がクオーツ式ムーブメント(アナログ)の仕組みです。ちなみに私が描きました。
 水晶振動子に電流を流し、一秒に約30000回の振動をさせます。この振動をicで数え、1秒に1回のパルス信号にします。この電気信号が1秒に一回コイルに流れ、磁界を発生させることで、磁界の中にセットされた超小型のモーターが回転します。このモーター軸に歯車をつけて秒針の付いた歯車をモーター1回転ごとに60分の1回転させるように歯車を組み合わせてあります。
 分針、時針は秒針の歯車の回転に合わせてそれぞれ回転するようにされています。時計の動きの基準は基本的に秒針にあります。

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 デジタル時計の仕組みです。デジタル時計もicで水晶振動子の振動を数えますが、表示をディスプレイにするための処理もicで行われます。ストップウォッチ、タイマーに利用することも容易です。
 デジタル時計は単に時刻を示すだけではなく多くの機能を備え、ディスプレイ表示という特性から、時計と言うよりはむしろコンピューターに近い存在です。実際、現在のデジタル腕時計のicチップの演算能力はアポロ宇宙船の船載コンピューターに匹敵、または上回っているとも言われています。
 アポロといえばアポロ13号の事故で宇宙船の電力が失われ、再突入時のコンピューターの自動操縦の為の電力を残すために電力消費を抑える必要があり、手動で軌道修正の噴射を行ったのですが、この時噴射時間は司令室の管制官達が計算尺で計算し、飛行士は装備していたオメガのスピードマスター(手巻き機械式)で噴射時間を測ったそうです。これはかなり有名な話ですね。今もスピードマスターは宇宙船での使用を考慮して風防がガラスではなくプラスチック製です。

【精度向上の工夫】
 水晶振動子の振動は気温によって微妙に変化します。そこで高精度な「年差クオーツ」などでは温度変化を測定し、修正する機能をもつicを使っています。
 その他水晶振動子の経年劣化をムーブメント組み込み前に起こし、組込後に振動数が変化しないようにするエージングを行うなどの工夫も見られます。
 クオーツ式はかなり高精度ですが、自動で時刻を修正する電波受信機能をつけて電波時計とすることでより正確な時刻を示すことができます。最近はさらにGPS衛星から時刻情報を受信するものもあります。これらは受信できない時は普通のクオーツ時計です。

【関連記事】
➣すぐに分かる、機械式腕時計の仕組み・機構編
➣機械式腕時計の仕組み・理論編(旧記事)

〈copyrights@sugi5cats〉

腕時計とはナンゾ?

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※画像はセイコーの「セイコー5」廉価な自動巻き機械式。高品質で「ファイバー」といわれる(自称?)ファンも多い。管理人もその一人。














最近は腕時計、という小物の存在意義が変わってきました。
ちょっと前まではサイフとかと同じく、出歩くときには必ず持ち歩くものでした。ですが今やサイフも"おサイフケータイ"機能でスマホやケータイに取って代わられつつあるように、いや、それ以上に腕時計の必要性ってなくなってきました。
それでいても腕時計を使う人がいなくなるわけではないようで、街では多くの方が腕時計を使ってます。必要性は無いのですが、腕時計は未だに社会人の必需品です。
ただ、腕時計に対する興味は非常に薄れてきています。購入の際に役立てる知識も無いです。で、何を選べばいいのかわからない。壊れたのかどうかもわからない。例えばヤフー知恵袋でも腕時計の相談は絶えません。
それなのにネット上に、こうした腕時計に悩まされる方の参考になるような情報は充実しているとは言えません。腕時計のサイトはほぼマニア向けです。
必要性の低下で趣味性は上昇したようです。「初めての腕時計に自動巻きが欲しいゾ」という人も増えてきているようです。しかし、マニア向けのサイトや2chはこうした腕時計マニア予備軍にも不親切です。難しい用語が飛び交っています。

当ブログはこうした腕時計の素人である管理人が日々の調査結果を報告する場です。
素人目線で記事を書き、できるだけ分かりやすい内容にできるように努力します。
腕時計購入の参考、より良い取り扱い、悪の時計改造のお手伝いができれば幸いです。
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