実に素晴らしい。
【ムーブメント−7S26C】
某国で偽物がでた為にスケルトンになったと言われる裏蓋。見えるcal.7S26は艶気こそ皆無ですが堅牢な風貌がかえって美しい。
セイコー5シリーズではおなじみの自動巻式機械時計ムーブメント、7S26のうち現在は7S26Cが搭載されているもようです。
手巻き、秒針規制無し。マジックレバー巻き上げ(両回転)。中三針デイデイト。6振動(21600bph)。21石。パワーリザーブ約40時間。公称日差±40秒。
堅牢、安価、そして高精度。公称日差は嘘っぱちで、実際には日差±10秒におさまる位になります。1日15時間ほど携帯している私のSNK357は3ヶ月間の平均で日差+7.2秒でした。
よく巻き上げ静置して各姿勢6時間実測、日差換算で検定をしてみましたところ、結果は以下のとおりです。
水平文字盤上−日差+6.85秒
水平文字盤下−日差+6.54秒
垂直12時上−日差+2.00秒
垂直6時上−日差+4.00秒
垂直3時上−日差+7.71秒
垂直9時上−日差−10.66秒
すなわち
平均日差+2.74s
垂直水平差2.93s/日
最大姿勢偏差13.40s/日
※数値は小数第3位以下切り捨て
これは購入後無調整、3ヶ月使用後での結果です。最大姿勢偏差以外はスイスクロノメーター規格、新GS規格にパスする水準です。恐るべき精度です。ただし姿勢差が大きいと言えるでしょう。姿勢差が大きいと置き方を工夫して「日差0」にできます。ですが私は面倒なのでやりません。10日に一回程で時刻合わせする楽しみはとっておきたいですね。
残念ながら7Sには香箱、マジックレバーの軸受けがルビーでない、カレンダー周りがプラスチック製、と耐久性に疑問点があります。
香箱はゼンマイが入ってますのでトルクがかかりますし、マジックレバーの軸受けが弱いと油切れしたら摩擦で削れ、巻き上げ効率が悪くなってしまいます。丈夫で低摩擦なルビーなら良いのですが。改良型の4R系やSEIKOの現在の主力と〈私は思ってます〉6R系はこの辺が改善されています。
カレンダー周りがプラスチック製ですと、機械への負担は軽くなるのですが、お察しの通り脆くなります。56ロードマチックでカレンダー送り不可の個体がよくヤフオクに出没しますが、そういうことです。6Rですと改善されています。当然9Sもガッチガチの金属製です。
しかし、実際には壊れたという事はあまり聞きません。ただ、私の父が昔持っていたファイブアクタス(7Sの原型、70系搭載)はどうやら巻き上げ辺りが壊れたようで、ゴチゴチと変な音がし、イカれたトルクが機械をぶっ壊し、針が吹き飛んでご臨終したそうです。70系をお持ちの方はオーバーホール、注油をしっかりしてあげてください。
【SNK357KC−モデルの印象】
全体に「5盾」マークを並べた濃紺の文字盤が最大の特徴です。5盾模様は強めの指向性の大きな光が当たればよく見えます。例えば蛍光灯、LED、直射日光など。
非常に濃い紺色ですので黒に見えることもありますが、他の多くの紺、青文字盤の時計に比べて落ち着いた印象です。インデックスは最近のセイコーに比して太く、薄いものです。光の当たり具合では文字盤と同化してしまいますが、外周部の夜光の白くマットな表面により視認性は確保されます。針も同様です。
ケースはかん足上面がヘアライン、他ポリッシュ仕上げで形はGSに有りそうな「接線サイドライン」のものです。ただ、ベゼルと裏蓋はちょっと高い印象を受けます。風防直径2.9mm、ベゼル直径3.3mmの小顔に比して分厚くなってしまいます。
実は私はGSに憧れてこれを買ったようなものです。接線サイドラインが大好きなんです。ロレックスも接線ですが、かん足の落ち方が嫌いですね。まあ、個人的な好みですが。GSと違って針がバーハンドですが、5盾エンブレムや文字盤のしつこいまでの5盾がファイブであることを強く主張しています。夜光もありますので、より実用時計であるイデタチとなり、私はなんだかんだで気に入ってしまいました。
型番末尾の「KC」(K1とも)は海外組み立てを意味するそうです。KCシリーズはカレンダーが英語orスペイン語で、J1シリーズはカレンダーが英語orアラビア語で日本組み立てだそうです。私のSNK357は裏蓋に「cased in China、movement Malaysia」というシールがありました。中国組み立て、マレーシア製のムーブメントだそうです。
【ベルト】
私は純正のブレスの5連が古くさく思えたので黒革、又は無垢3連ブレスに交換しました。
純正も板巻きながらも柔軟性のあるフィッティングの良いものですが、サイドのゴチャっとした板バネの先端がちょっと。。。
革ベルト化は他の方もよくやってみえるようですが、無垢化は見当たりませんでした。Amazonで程よいモノを買って、純正の弓カンを流用して、バックルも交換しました。無垢ブレスだと重くはなりますが、この小顔のSNK357がちょうどいい細腕ですとブレスの長さも程度がしれます。そう重くは感じませんでした。重心が全体に分散され、装着感が良くなったかも知れません。
無垢ブレスへの交換は後々記事にできると良いですが、視聴率の悪いこのブログの記事を書くのはなかなか苦痛でして。※2016/05/04記事アップ〈➣リンク〉
〈以下無垢画像集〉
2chにも同じ画像をちょっと前にうpしましたが、不評ではなかったと解釈しております。
【以下カッコつけた画像集】
こちらは2chでは「暗すぎる」「革ベルトが拘束具、dバックルが鉄格子、差し込む光が微かに残る希望を表す」なぞと言われますた。
そんなつもりはなかったのですが、私の心理状態でも表しているのでしょうか。
無垢ブレスバージョン。
このSNK357はこの五千円札を支払いに使いました。55555が御神託かのよう。後で売って増額するかとっておけばよかったとも思いました。後の祭り。もしこの五千円札を入手された方はファイブを買うのに使ってください。
〈copyrights@sugi5cats〉
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➣【無垢・革】ベルト交換〈SNK357KC〉